中村勘三郎が、
「桜姫」公演のために渋谷でお練り。
舞台の上から、路上に出てくる。
これが本来の芸と観客の関係。

もともと、歌舞伎や劇場公演は
こうやって、人とふれあいをもつことで
魅力を伝えてきた。
ただ、舞台の上にいて、演技をしているだけでは
やはり、遠い存在でしかない。
空気を共有するという意味でも、
街へ出て、人と触れることは
芸が近い存在となる。
江戸時代は、こういうお練りは当たり前のことだった。
昔は、舟でのお練りもあったようで、
3年ほど前には、坂田藤十郎も日本橋で行っている。
溝口健二の映画にもそのシーンがある。
それだけ、お練りは華やかで、
見る人も、練る役者も明るい気持ちになるのだろう。
今回も、役者はいつもと違う楽しい気分を出していた。





もともとは、お練りは奉納するという神事からきているのだが
芸がある限られた空間だけでなく、
街の中にあふれだすことで、
もっともっと、芸が社会に関係することができると思う。
それこそが、
芸が社会に、人間にできること。
社会のすべては、芸から始まり、芸に終わる
といっても過言ではないのだから。
芸よ、街へ出て、人を変えよ、である。

