県大会1回戦ボーイだった佐賀北高。
彼らはなぜ優勝できたのか。
しかも、8回裏4点リードされていた場面での
逆転満塁ホームランで。
そこには、人間の可能性があった。
いまどきの甲子園で野球特待生もいない、
ばりばりの県立高校。佐賀北高校。
去年の秋も、今年の春も、県大会1回戦で敗退。
いわゆる、文武両道の公立高校である。
彼らの変化は、どうして起きたのか?
興味深い。
もちろん推測でしかないが、私の考え。
佐賀北高の野球部員は、1回戦敗退後の4月、
監督に疑問を持ち、部員全員で話し合ったという。
ついていくべきか、リコールするべきか。
たぶん、侃々諤諤の図が想像できる。
そこで出た結論が、もう一度監督を信頼することだった。
これが、変化の第1歩に違いない。
そして県予選を勝ち上がる。
これだけでも彼らには奇跡だった。
何しろ甲子園は夢でしかなかったのだから。
そして、偶然にも甲子園の緒戦は、開会式直後。
そこは無事に通過。そして第2戦。宇治山田高との対戦で
取ってとられての接戦延長で引き分け、再試合。
これだけでも、去年の早実対駒大苫小牧を思わせる。
再試合を圧勝すると、彼らの中に今までと違う自身が芽生えた。
間違いない。
俺たちにもできる、一流校と遜色ない、という確信。
それが、馬場投手から久保投手へのリレーに現れている。
次の難関、帝京高にはサヨナラ勝ち。
もうここまで来ると、公立高のひ弱さはない。
顔に負けるわけがない表情でみなぎっている。
極めつけは、決勝の広陵高との戦い。
8回裏まで、1安打に抑えられ、4点ビハインド。
相手投手は早いテンポで優勝へひた走る。
しかし、きわどい四球で押し出しを得ると、
副島選手が、逆転満塁ホームラン。
絵に描いたような逆転劇。映画より映画的。
そしてフィナーレは、昨年のように
相手投手が空振り三振で試合終了。
その瞬間、あーあ、人は思えばどうにでもなれる。
思いがないから、どうにもならない。
人には人にもわからない、不思議な能力が備わっている。
それを引き出すのは、同じ目的を持つ仲間との心の通いよう。
お互いが同じ気持ちを持てば、
信じられないような能力が開発される。
間違いない。
そのために心のうちを全部吐露する。
それさえできれば、人はじぶんの思うより
はるか向こうに行ける。
コミュニケーションは相手だけでなく、じぶんをも
引っ張り出す。
すごい。

